12インチ・ダブテールジョイントジグで短い板を加工する

12インチ・ダブテールジョイントジグで「もっと小さい箱を作りたい」と思ったことはありませんか?
ジグを自作すると、通常ではクランプできない短い材料を固定できるようになります!

12インチ・ダブテールジョイントジグを使って小さな引き出しを作ります。
このジグでは上面のクランプ(ピンボード側)に固定できる板の長さは約20cm以上必要です。それ以下の短い板を加工するには何らかの工夫が必要になります。
この作例では上面のクランプに短い板を固定できるジグを作り、小さな引き出しを作製しました。

※本作例で使用する12インチ・ダブテールジョイントジグは旧仕様のものですが、旧版・最新版に関係なくこのHOWTOの手法は利用できます。
※本作例で使用する自作ジグは、LEIGH Technical Bulletins に掲載されている Clamp short boards on your Jig - Quick method ならびに Clamp short boards on your Jig - Adjustable width を参考に作成しました。
下記の作成手順は、あくまでも参考です。
これらの手順は、作成者の技能、環境や材料、道具等が異なればそれらに適した対応が必要になります。最も安全で最適な方法を考慮し、おこなってください。
怪我・失敗等につきましては当社は責任を負いかねます。

作成手順で使用している商品は、ページ最後の「このHOW TOで使用した商品」より詳細がご覧いただけます。
もくじ


1.短い板を上部クランプに固定するためのジグ
2.外枠の加工
3.引き出しの加工

 

1.短い板を上部クランプに固定するためのジグ

これが12インチ・ダブテールジョイントジグで短い板を上面クランプに固定するための引き出し加工用のジグです。
材料はMDFで、ベースが厚さ12mm、長さ20cm、幅16.6cmの引き出し用ジグと、幅が24.5cmの外枠加工用のジグを作りました。
各々にはテンプレートのピッチサイズに合わせた厚さ9mm、幅22.2mmと25.4mmの材料固定用の桟を両側に貼り付けています。そしてそれらの前面には前側のクランプに材料を固定する際にそれらのピッチの半分ずれるようにストッパーを貼り付けています。
桟の側面には、材料と接触する部分に強固に固定するようサンドペーパーを貼り付けています。

材料はクサビで桟の間に固定します。
この画像は外枠加工用のジグで、しっかり固定されるようクサビを軽く打ち付けています。

2.外枠の加工

12インチ・ダブテールジョイントジグと外枠や引き出しの材料と固定ジグです。
この時点ではクサビもMDF製としましたが、打ち付けるとつぶれてしまったので、タモで作り直ししました。

最初は外枠の作製。
外枠の寸法は高さ約35cm、幅約14cm、奥行き約20cm。
厚さ19mmのタモで作ります。
ピンボード加工する上下の板の長さは14cm、幅18cmとそのままでは上面クランプに固定できないので、大きな固定ジグを使用して固定します。
使用したテンプレートは標準仕様の1/2”、ビットも標準付属の刃径14.9mmを使用します。

12インチ・ダブテールジョイントジグの上面クランプに、固定ジグをセットしたピンボードを取り付けます。
テールボードは前側クランプに固定。

上面クランプに固定したピンボードは短くそのままではジグ本体のクランプにかからないので、同じ厚さの材料を固定ジグにのせクランプします。

カット後のテールボードとピンボード。

このようにしてテールボードとピンボードを各々2枚加工します。

カット後のテールボードとピンボードは自作のトリマテーブルで裏板をはめ込むための溝加工。

引き出しを支える受け桟をはめ込む溝も。

接着、固定したらサンドペーパーで仕上げ、

正面側は留ツギに見えるよう、板を張り付け、

受け桟の正面側にも見栄えが良いよう板を張り付けます。

外枠の加工はこれで一旦完了。

3.引き出しの加工

引き出しの前板は厚さ13mmのウォールナット。
寸法は幅100mm、高さ70.6mm。側板と向こう板は厚さ12mmのヒノキ。側板の長さは167mm。
向こう板の寸法は前板と同じです。
これらを7/16”テンプレートと刃径12.7mmのビットで加工します。
固定用のジグは画像手前側の小さなジグを用いました。

固定用のジグにセットした前板。
前板の横には前側のクランプにセットしたテールボードの欠けを防ぐために当て木を添えています(矢印)。

通常、テールボードの後ろ側にセットしたピンボードがその役割をしますが、それらはピッチの半分だけずらしてセットするので、当て木がないと欠けやすくなってしまいます。

そのためにここでは、欠けを防ぐためにホイールマーカーで予め繊維を断ち切り、すべてのテールを当て木で保護できるようにしました。

ちなみに、この対策を施してカットしたテールボードが左の画像ですが、欠けは生じませんでした。

この作例で引きだしの加工に使用するビットの刃径は標準付属品より小さな12.7mm。
ビットの突き出し量は約13.8mmで、テンプレートの厚さを引いた材料への切削深さは約7.45mmと浅くなるので、薄い板でも安心して切削できます。
画像のようにL字型ストッパーを誤って傷つける恐れはなくなりましたが、固定用のジグの桟は誤ってカットしてしまう可能性があります。
そのためにも固定用のジグの桟の固定にはねじ等の金属は使わず、接着剤を使用すべきと思います。

板厚が薄く小さなベースのトリマを使用した場合、フェンスが届かないという問題もありますが、ここではトリマーベースプレートに取り付けて使用しているので、特に対策を施さなくても加工できました。

前板と側板の加工後の状態です。固定用のジグの前板の横に添えた当て木も同時にカットし、テールの欠けを防いでいます。

これは向こう板と側板の加工後。

ジョイント加工の済んだ引き出しの各パーツは底板を取り付けるための溝加工をし、

底板をはめ込んで接着剤で固定。

取っ手を取り付け、

引き出しがスムーズに動くようにサンドペーパーで削り、調整します。

塗装の前処理としてマスキング。

そして塗装して完成。

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