ターニング道場 お椀

基本のお椀作りを紹介します

高台(コウダイ)のついたオーソドックスなお椀作りにチャレンジ!

下記の作成手順は、あくまでも参考です。
これらの手順は、作成者の技能、環境や材料、道具等が異なればそれらに適した対応が必要になります。最も安全で最適な方法を考慮し、おこなってください。
怪我・失敗等につきましては当社は責任を負いかねます。

作成手順で使用している商品は、ページ最後の「このHOW TOで使用した商品」より詳細がご覧いただけます。
もくじ


1.材料の準備
2.お椀の外側を削る
3.お椀の内側の加工・コウダイの仕上げ

 

1.材料の準備

材料:槐(えんじゅ)180mm x 200mm 厚さ90mm

使用ツール:サイドスクレーパー(角)19mm、フィンガーネイルボウルガウジ 10mm

※刃先を好みの形状に変えています。

半割りした丸太をサークルカットする時はテンプレートを使うと便利です。
予めいくつか使いそうなサイズをベニヤ板などで作っておきましょう。

 

【ワンポイントアドバイス】
上面(木表)側を少し平面にしておくとテンプレートをセットしやすいですが、丸太を半割りしたままの状態でも使用できます。

テンプレートを切らないようにテンプレートの外周より少し外側をカットします。
※6mm x 4山ブレード使用

斜面にコンパスで円を書くと楕円になります。
なるべく円で切りたい場合はこの方法が良いでしょう。

お椀の内側になる木裏側にセンターファインダーを使っておよその中心位置を書き込みます。

フェイスプレートをなるべく中心に取り付けます。

 

木ネジは皿タッピング4 x 25を使用しています。
木ネジの長さが十分でない場合、材料が外れて飛ぶ事があります。実際に使用するネジの長さが十分に足りているか、必ず確認しましょう。

2.お椀の外側を削る

お椀の外側から削って形状作りします。
ツールレストを45°ぐらいの角度にして削りはじめる角に近づけて固定します。

フィンガーネイルボウルガウジを使って角を落としながら削り進みます。

溝を進行方向に向けて約45°程度傾け、ベベルを削った直後の新しい面に擦りながら進めます。 
※刃先を好みの形状に変えています。

高台になる部分も荒削りしておきましょう。

曲線を良く確認しながら少しずつ削り進みます。
ベベルを擦りながら削ると美しい切削面になります。

高台の内側を荒削りします。

チャックのジョーを35mm ボウルジョーセットに取り換えました。
閉じたボウルジョーの外径を計測すると約37mmのようです。

チャックのジョーが入る約38mmの窪みを加工します。
サイドスクレーパー(角)19mmを使って深さを6-7mmにしてみます。

【ワンポイントアドバイス】
窪みにチャックのジョー(爪)を入れて、押し広げて固定する事を"エクスパンディング"と言います。
窪みが浅すぎたり、精度が低い場合、チャックから材料が外れて危険です。

更に安全に固定したい場合は窪みをダブテール形状(奥が広がっている)にすると良いでしょう。
その場合はダブテールスクレーパーがお勧めです。

窪みの底が平らである事を確認します。
真ん中が盛り上がっているとボールジョーで安定した固定が出来ないので注意しましょう。

【ワンポイントアドバイス】
ここでは高台部分を薄くしないようにします。
最初から薄くしてしまうとチャックで固定した時などに割れる可能性があります。

電動ドリルを使ってサンディングする"パワーサンディング"をしてみます。

電動ドリルの他、50mm軸付きスポンジパッド(6mm軸) 、50mmベルクロ替ペーパーを用意します。

【ワンポイントアドバイス】
サンドペーパーは#60から#400まで(#60,#120,#180,#240,#400など)準備します。
途中の粗さを省略するとキレイに仕上がらない場合があります。

表面の状態に応じて荒い方から順番にサンディングしましょう。
マスクや集塵装置などを使って防塵しながら作業しましょう。

【ワンポイントアドバイス】
サンドペーパーは常に動かして、まんべんなくかけましょう。
同じ場所をサンディングし続けると回転スジが付きやすくなったり、 細かなサンドペーパーになるにつれて摩擦熱が発生しやすくなります。
高温にした材料が冷えると細かな割れが生じる事がありますので、材料の表面を熱くしないように心がけましょう。

細かな部分は、カラトギのサンドペーパーを手で持ってサンディングしましょう。

サンディングが終わったら、窪みの内側にたまった木屑や粉をブラシ等でキレイにします。

3.お椀の内側の加工・コウダイの仕上げ

フェイスプレートを外します。

窪みの底や内側の角をチャックのジョー上面としっかりフィットさせ、確認しながら徐々にジョーを開きます。

固定後、低速で回転させて"フレ"が無いか、ワークに軽く触れて確認しましょう。
もし、フラフラと回っているようであればチャッキングをやり直しましょう。

【ワンポイントアドバイス】
窪み(リセス)の形状や深さは安全に関わる重要な事です。
割れたりしないような大きさ、深さ、デザインなど良く考えて慎重に作業しましょう。特に広葉樹に比べ針葉樹の場合、材料が柔らかく割れやすい傾向があります。

フィンガーネイルボウルガウジを使って掘り進みます。
フェイスワーク作業になりますので中心に向かって削り進みましょう。

貫通しないように時々停止して深さを測りながら削りましょう。

内側をパワーサンディングします。

きれいになりました。

外します。

ジョーをミニ・コールジョーセットに交換します。

【ワンポイントアドバイス】
コールジョーセットは木工旋盤に適したサイズと推奨する回転数内で使いましょう。

ツールレストを高台側にセットします。
高さはスクレーパーを使う適切な位置にします。

スクレーパーの刃先が回転軸の中心と同じ高さになるようにしましょう。スクレーパーは水平または、少し刃先を下げて前下がりで使用するのが一般的です。

【ワンポイントアドバイス】
コールジョーをあまり過信しないようにしましょう。特に横からの負荷には非常に弱く、材料が外れて飛ぶことがあります。
出来る限り外周に近い部分は作業しないように気をつけてください。負荷の大きなツールは使わず、小さな負荷のツールを正面から使いましょう。

強度を保つために幅広く残しておいた高台をここで薄くします。

サイドスクレーパー(角)19mmを使って高台部分を少しずつ削って調整をします。
左側の角を使って"押し切り"しましょう。
削る量を欲張らず負荷を最小限に薄く薄く削りましょう。
刃物は良くシャープニングして使いましょう。

カラトギのサンドペーパーで各部を整えます。

出来上がりました。

高台も薄く仕上げられました。

汁椀として使うなど、防水の必要が有る場合は適した塗装方法を選択してください。
ウレタン系の木固めエースや、漆などで塗装すれば高い防水性が得られます。
高い防水性が不要の場合は、えごま油やくるみ油などオイル系の塗料が簡単です。
木目が際立つ仕上がりになります。


他のバリエーションで、カフェオレボウルなどにもチャレンジ出来ますね!

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