ターニング道場 うつわ

チャックを使用しない、フェイスプレートを使ったうつわ作りに挑戦!

うつわ (径 約140mm、高さ 約60mm) 無塗装
木工旋盤がはじめての方は、まずこちらのうつわ作りにチャレンジされてみるのはいかがでしょうか?
下記の作成手順は、あくまでも参考です。
これらの手順は、作成者の技能、環境や材料、道具等が異なればそれらに適した対応が必要になります。最も安全で最適な方法を考慮し、おこなってください。
怪我・失敗等につきましては当社は責任を負いかねます。

作成手順で使用している商品は、ページ最後の「このHOW TOで使用した商品」より詳細がご覧いただけます。
もくじ


1.うつわの外側を削る
2.うつわの内側を削る
3.フェイスプレートから外して仕上げ

 

1.うつわの外側を削る

”板材”を用意します。

 

<サイズ例>

径:約140mm
厚さ:約90mm

材種例:トチ

フェイスプレートを用意します。

 

フェイスプレートは通常、木工旋盤本体に標準で付属しています。主軸サイズが合えば別売のものも使用できます。

材料の中心にフェイスプレートを木ネジで固定します。(使用木ネジ:例4 x 20mm)


ネジが短すぎると危険です。
また、必ず板材に使用してください。
角材の木口に木ネジを使用すると、木ネジが木の繊維にしっかりとねじ込まれず危険なため、絶対に行わないでください。

材料に確実にフェイスプレートを取り付けた後、木工旋盤の主軸にねじ込んで装着します。

フェイスプレートのネジは最後までねじ込んでください。

安定性を高めるため、テールストック側からも材料を押さえます。

 

回転センターを装着しテールストックを固定後、ハンドホイールを回して材料を押します。
固定後、テールストックのスピンドル固定ハンドルを必ず締めます。

材料のヘッドストック側の角に約45度程度の角度でツールレストをセットします。


使用する刃物はラウンドスクレーパー。

まずは角を削ります。

ラウンドスクレーパーは少し前下がり(ハンドルをわずかに上げた状態)で使用します。
ツールレストの高さはラウンドスクレーパー先端の上面角が回転の中心の高さになるようにします。

実際に動かす前に、回転速度の調整をします。

 

駆動ベルト(ドライブベルト)は今回"中速"にしました。
材料の大きさや硬さを考えて調整しましょう。

駆動ベルトの掛け替え方法は、お手持ちの木工旋盤の取扱説明書を確認してください。

木工旋盤にスピードコントロールが付いている場合、駆動ベルトの掛け替えだけでなくこのようなツマミで回転速度を調整できます。

 

今回は回転速度を最低にして行いました。

ハンドルをしっかり持ち、先端が少し前下がりのままゆっくり近づいて少しずつ削りましょう。

好みの形状に近づけます。

うつわの底になる部分を決め、パーティングツールで溝を付けます。(作例では3mmのものを使用しました。)

フェイスプレートを材料に取り付けるときに使用した木ネジの長さも考えて、少し余裕を持たせた位置にします。

パーティングツールを真横から突き刺すようにゆっくり先端を近づけます。

パーティングツールは挟まれないように注意しながら使いましょう。

フェイスプレートより細くならないように注意しながら、うつわの底になる部分まで筒状に加工します。

ラウンドスクレーパーでうつわの底側の角を削って好みの形にします。

少しずつ削りスムーズな面になるように工夫しましょう。

作業を進めていくうちに、削った分写真のようにツールレストが材料から離れていきます。
ツールレストと材料の距離が離れると、安定性が悪くなり危険です。

スイッチを切り、こまめにツールレストを移動して材料に近づけて削りましょう。

2.うつわの内側を削る

うつわの外側の形状が出来たら今度はうつわの内側を削ります。

内側を削る際は、テールストックをベッドから外します。

ツールレストを縦にセットして材料に出来るだけ近づけます。

ラウンドスクレーパーは外側の時と同じように、先端を少し前下がりにして使用します。

先端を少し前下がりにした状態で上面の角が回転の中心になるように、慎重にツールレストの高さを調整します。

前下がりの角度をキープしたまま外側から中心方向へラウンドスクレーパーを動かして削ります。

欲張らず少しずつ削りましょう。

ツールレストから削る面までが遠くなると削り方が難しくなります。
ツールをしっかり持って角度を安定させて少しずつ慎重に削りましょう。

形状によって可能な場合はツールレストの一部を中に入れて使う事も出来ます。

うつわの縁もきれいに削りましょう
(周速が早い場所ですので気を付けて少しずつ削ります)

縁の全面がキレイになればOKです。

定規やデプスゲージなどを使ってうつわの深さを確認しながら削り進みます。

貫通しないように、まめに計測しましょう。

好みの深さ、形になったらサンドペーパーで表面を整えます。
電動ドリルを使ったサンディングは効率よくキレイに仕上げる事が可能です。

 

サンディングは粉じんが大量に発生する作業です。集じん機の併用をおすすめします。

外側も同様にサンディングします。
マジック式の丸いサンドペーパーを軸付サンディングパッドに貼り付けて使います。
表面の状態にあわせて120番ぐらいから320番までサンディングするとキレイに表面が整います。

3.フェイスプレートから外して仕上げ

フェイスプレートからうつわを切り離します。

 

フェイスプレートを材料に固定した時に使った木ネジがどのあたりまで刺さっているか確認します。

木ネジが刺さっている位置に線を1周書き入れましょう。

木ネジの先端が確実に当たらない場所に印を付けます。

こちらにも線を1周書き入れましょう。

確実に当たらない位置(2回目に引いた線)でうつわを切り離します。

位置を間違えないようにパーティングツールを使って細くします。

挟まれないようにパーティングツールの幅以上広い溝になるように削ります。

パーティングツールは斜めに差し込んで削る事も可能です。

好きな形状に加工しましょう。

あまり細くせず、ある程度細くなったらやめます。
木ネジの先端を削るような事にならないように十分に注意しましょう。

細くした部分をノギスで計測してみます。
約40mmの太さになりました。

届く範囲で出来る限りサンディングします。

ノコで約40mmの太さになった部分を切り込みます。
木工旋盤は必ず停止した状態にしてください。

なるべくうつわの底側で切りましょう。

うつわが落下しないように片手でサポートしながら切断します。

切り離して余った部分で簡易的なサンディングプレートを作ります。

 

ラウンドスクレーパーで残った材料の端面を平らに加工します。

削りすぎて木ネジの先端にツールを当てないように十分注意してください。

平らにした面に接着剤やスプレーのりでサンドペーパーを貼り付けます。
この場合、60番程度が使いやすいでしょう。

接着剤を使用した場合、完全に硬化するまで回転させないでください。
接着剤が飛び散ると非常に危険ですので十分に注意してください。

うつわをしっかりと両手で持って底の面を回転させたサンドペーパーに当てて削ります。

底面の中心付近を高くしないように(グラグラさせないように)しましょう。

最後に平らな作業台にサンドペーパーを敷いて底面を整えます。

グラグラせず安定して置けるようにしましょう。

チャックを使わない方法で作った"うつわ"の出来上がり。

 

塗装はくるみ油・ウレタン塗料などお好みで。

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