1.角材を丸棒にする
材料例:約40mm x 40mm x 230mm 栃
※赤ちゃん用ですので、匂いや味など刺激の弱い物にしましょう。
左はヘッドストックに装着するドライブセンター、右はテールストックに装着する回転センターです。
ドライブセンターを端面の中心に木槌で軽く叩いて4つの爪を軽く食い込ませます。
食い込んだ爪がずれないように合わせて左右のセンター間で材料を固定します。
回転センター側もしっかりとテールストックで押して固定します。
19mm スピンドルラフィングガウジを使って角材を丸棒に加工します。
ガウジの角が角材の下に潜り込まないようにツールレストの高さ調整と持つ角度を確認しましょう。
回転速度の選択は"中速"で行いましょう。
駆動ベルトがプーリーのまん中に入っている事を確認してください。違う位置に入っていたら変更しましょう。
すでにウッドターニングの熟練者は自分の判断で回転速度を変更しても良いでしょう。
中速にベルトがセットされた状態で、ダイヤルも中間ぐらいの回転スピードになるようにして作業してみます。
スピンドルラフィングガウジの溝を真上に向けたままツールレストの上を滑らせて角を落とします。
角からツールを入れるのは少し危ないので、角は"外に出る"ようにツールを動かしましょう。
この時、ツールレストの端が材料より少し出ている状態にして置きましょう。
安全のために材料の端までツールが来た時もツールレストの上に乗っている必要があります。
このように左側も"外へ出る"進行方向でツールを動かしましょう。
両端が少しテーパー状になったら中心付近はスピンドルラフィングガウジの溝を上に向けたままツールレストの上を左右にゆっくりと動かして少しずつ角材の角を落としていきます。
少し細くなってきた時、特に回転センターの近くでは慎重にツールを操作し、ぶつけたりしないように丁寧に作業します。
丸棒が出来上がりました。テールストックの押さえが弱く(緩んでいる)なっている場合があります。
次の作業に移る前に確認して必要なら"増し締め"を行って材料を安全に固定しましょう。
2.全体の形をつくる
全体のデザインを考えながら太い部分や細い部分など主なポイントにマークしましょう。
10mm スピンドルガウジを使います。
このスピンドルガウジはシャープニングジグを使って"フィンガーネイル型"にシャープニングしています。
しっかりとベベルをワーク(材料)に合わせて削る"ベベルラビング"を心がけましょう。
スピンドルガウジのフルート(溝)は進行方向に向け、約40度ほど傾けた状態で使います。
丸棒を写真の側(テールストック側)から見て、端面を時計と考えた時、約10時30分(短針)の位置でカットできるぐらいのポジションにツールレストの高さやハンドルの持ち方、角度、自分の立ち位置を考えましょう。
作例で使用しているスピンドルガウジのベベル角度は40度ですが、使用するスピンドルガウジにあわせて、ベベルとワークのクリアランスがゼロになるように心がけます。
この様な場面ではスキューチゼルを使う時も似たような考え方で行うと良いでしょう。
もし、スクレーパータイプのツールを使う場合のカッティングエッジの位置は芯と同じ高さ、約9時(短針)の位置で行いましょう。
写真のように左へフルートを傾けている訳ですから左へ進んでいます。
カッティングポイントはガウジの中心(溝のいちばん深いところ)より左側でカットするのが一般的です。
左に進んでいるのに右側を使ってカットしている状態では、フルートが上を向きすぎてキャッチ(刃物がひっかかる)する可能性が高くなる事と、削り方がカッティングタイプのツールでは無く、スクレーパータイプのような使い方に近くなって切削面も荒れてしまいがちです。
常にベベルラビング(ベベルを擦りながらカットする)を心がけましょう。
フルートの向きを調整して"V"や"U"の谷間作りにも挑戦してみましょう。
このような場面では山から谷に降りて行くようにツールを使います。
つまり、太い方から細い方へツールを動かします。
逆に坂道を登るようなツールの動きをしてしまうと(細い方から太い方へ)表面がむしれてしまったり逆目になってしまうので注意しましょう。
3.リングを作る
3mm パーティングツールを使ってみます。
ツールをほぼ水平にツールレストの上に乗せて、パーティングツールの平らな部分がツールレストに乗るようにワークとの距離を調節しましょう。先端のカッティングエッジは回転の中心(芯)になるように高さも慎重に合わせます。
今回はリングを2個作るので、およそ均等になる間隔で溝を作ります。
出来た凸部分の角をスピンドルガウジで丸めます。この時もベベルラビングが基本です。
左右対称にカーブを作って2ヶ所に"かまぼこ型"の凸を作ります。
この部分が最終的にリング(輪)になります。
更に凸の両サイドをパーティングツールで削り少し細くしましょう。
リング以外の部分もスピンドルガウジなどで形を整えます。
常にベベルラビングを心がけましょう。
スキューチゼルのロングポイント(先端)を下側にしてリングの内側を削ります。
写真のスキューチゼルはオーバル・スキューチゼル 19mmですが、スタンダードスキューチゼルでも良いでしょう。
進入角度を良く考えましょう。
回転を止めた状態で何度もシミュレーションしてみます。
オーバル・スキューチゼルのロングポイント側の側面は平らになっていますので、ツールレストの上でも安定させやすいですが、特にこの場面ではツールを左右にフラフラさせるとキャッチする可能性が高いので慣れるまでは極力スピードを控え目にして行いましょう。
左右交互に角度を見ながら少しづつ削って行きます。1枚ずつ削ぎ落とす感じです。
やがて左右から切り込んで行くと貫通してリングが出来上がります。
出来たリングを未だリングになっていない側の凸部分にマスキングテープで仮固定します。
リングの内側に接する面をスピンドルガウジで整えます。
もう一方のリングをスキューチゼルのロングポイントを使って作ったら同じ作業をします。
太さは反対側と同じぐらいになるようにしてみましょう。
リング内側に接する部分がキレイになりました。
次はリングの内側をキレイにしましょう。むしれた部分が残っているようです。
180番か240番程度の荒さのサンドペーパーを細いテープ状に切ります。
"たすきがけ"のように巻きつけます。
サンドペーパーの端をマスキングテープで固定します。
低速で回転させて、リングを手で持ってリングの内側をサンディングします。
必要なら反対側にサンドペーパーを移動させて2個のリングの内側をきれいにしましょう。
リング以外の部分も丁寧にサンドディングします。
赤ちゃんが使う事を考えてバリなどが無いように念入りにサンディングしましょう。
4.ハンドルの形作り~完成
次に"柄(ハンドル)"部分をスピンドルガウジで削ります。
ここは最初から細くしてしまうと振動が大きくなり、リングを作る時に悪い影響を与える可能性があるので、リングが出来上がってから細くします。
スピンドルガウジを使って好みの形状に削りましょう!
太い方から細い方へツールを動かします。
形が決まったらサンドペーパーをかけて仕上げます。
両端のカットも考えながら少しづつ細くします。
無理せず、自分の実力に有った程度の細さまで削りましょう。
折れてワークを飛ばしてしまっては危険です。
ハンドル側も細くしましょう。
サンディングも含め満足出来る表面に仕上げましょう。
無難な太さになったらワークを落とさないように注意して"手ノコ"で左右の細い部分を切り落とします。そのあとサンドペーパーなどを使い手作業でキレイに整えましょう。
かわいい赤ちゃんのために各部を念入りにチェックしながら仕上げます。
全体が"ツルツル"になったら出来上がりです。