ルータービットでドアパネルをつくろう

框組「レール&スタイル」の構造と加工方法を紹介

框組「レール&スタイル」作りに使用する、「レール&スタイルビット」「レイズドパネルビット」「バックカッタービット」の使い方と、框組の構造を紹介します。
キャビネットドア

この壁掛け戸棚にはレイズドパネルドアが使われています。レイズドパネルドアは装飾性に富み、見た目が美しいので家具やキッチンの扉、建物のドアなど実に多くのところで使われています。

構造は4つの枠の中に鏡板(かがみいた)をはめ込んで作ります。この枠は別名、縦横の『かまち(框)』と呼んだり、スタイル・レールという名前が付けられています。

枠には溝があり、鏡板が差し込まれています。
(この鏡板は接着しません)

溝の深さは9.5mmです。鏡板はその深さいっぱいではなく1~2mm隙間を持たせて差し込んであります。

ルータービットの名称と加工箇所

こちらが西洋の框組に使われるルータービット。
すべてルーターテーブルを使って行います。

(上段 左から)
レールビット、スタイルビット(2本組)
バックカッタービット

(下段 左から)
レイズドパネルビット(オージー)
バーチカル レイズドパネルビット(オージー)

※レイズドパネルビットは形状は異なりますができる加工は同じです。板の送り方が変わります。

それぞれの対応する加工部分を紹介します。

 

こちらはスタイルビット。
枠の内側(青色部)を加工します。

こちらはレールビットです。
2枚の横枠の両端(青色部)を加工します。

スタイルビットで加工した断面の形状にぴったりと合う凸部分を加工します。

鏡板は、レイズドパネル(Raised Panel)とも呼ばれます。『盛り上がった形の鏡板』という意味です。

実際には、板の周囲を削って薄くすることで、盛り上がった形状にします。
この加工のためのビットが、レイズドパネルビット又はバーチカルレイズドパネルビットの2本(図の右側)です。この2本は用途は全く同じですが、材料を立ててフェンス加工するか、ルーターテーブルに寝かせて加工するかによって、どちらかを選びます。

図の左のビットは、鏡板裏側の周囲を加工する、バックカッターというビットです。鏡板の周囲が枠の溝に入るよう、厚さ調節に使います。

スタイルビットでの加工

スタイルビットで図のように、枠の内側(青色部)を加工します。
ルーターテーブルにスタイルビットを取付け、使用する板(今回は18mmのMDF)をテーブルに乗せてビットの高さを調節します。

フェンスとスタイルビットについているベアリングを一直線に揃えます。ステンレス定規などを使い、フェンス部分を前後させながら調整します。(左図・赤丸部分)

材料板の表側を下にします。
フェンスに沿って、4枚の材料板の内側になる部分を加工します。

左は加工後の断面図です。

これがスタイルカッターで加工された形状です。

 

【ワンポイント・アドバイス】

ここでは厚さ18mmのMDFを使用しました。塗装をするのであれば、合板やMDFは反りやねじれなどの癖がなく、大変使いやすい材料です。集成材も癖の少ない材料なので適しており、ニス塗りなどで木目を活かせます。
一枚板を使用する場合には、手押しカンナで材料の平面を出し、プレナー(自動カンナ)で材料板の厚みを揃えておく必要があります。

レールビットでの加工

レールビットで2枚の横枠の両端(左図・青色部)を加工します。
先ほどのスタイルビットと同じく、ビットのベアリングとフェンスを一直線に揃えます。

すでにスタイルビットで加工した枠を、これから行う加工の基準にします。
左図の赤丸部のように、枠の溝とビットの刃の高さを合わせます。

高さ調節後、2枚の横枠の両端を加工します。
図はレールビットで加工した断面図です。

これが加工後の材料です。スタイルビットとレールビットの両方で加工した交差部分は、複雑な形状になっています。

ビットの高さ設定が正確であれば、組み上げた時に2枚の枠板に段差ができません。

本番の材料を加工する前に、枠板と同じ高さのテストピースを使って、ビットの高さ調整をきちんとおこなっておくのがよいでしょう。

レイズドパネルビットで加工

鏡板の周囲は枠の溝に差し込まれています。

溝の深さは9.5mmです。そこに差し込むと鏡板との間に1~2ミリほど隙間が残るサイズに、鏡板を切り出します。

ルーターテーブルにレイズドパネルビットをセットします。ビットのベアリングとフェンスが一直線になるようにしましょう。


このビットは刃の直径が大きいため、外周部が高速で回転します。そこでルーターの回転数を低くして作業を行います。

材料板の表側を下にします。
フェンスに沿って鏡板を送って、加工します。

最初からビットを所定の高さにすると、削り落とす量が多く、ビットやルーターに負担がかかります。ビットの高さを少しずつ上げていき、何回かに分けて加工するようにしましょう。

こうしてレイズドパネルの形が出来上がりました。

こちらはバーチカルレイズドパネルビット。

パワーの小さいルーターでもレイズドパネル加工ができるよう、刃の直径が小さくなっています。

加工できる形状は通常のレイズドパネルビットと同じです。

バーチカルタイプを使う場合、鏡板を立てた状態でフェンスに沿って加工します。

安定した作業を行うため、フェンスには充分な高さを持たせましょう。

バックカッタービットで加工~完成

こちらのバックカッタービットも、ルーターテーブルで使います。

フェンスとビットのベアリング部が一直線になるよう調整します。

バックカッタービットは鏡板にレイズドパネルビットで加工を施した後、左図の赤丸部分が厚すぎて、枠の溝に入らない時に使います。

鏡板の裏側を削り落とし、赤丸部分の厚さを調整する為のビットです。

鏡板を枠部の溝に差し込んだ状態。

すべての材料を組み合わせて、扉の完成です!

框組「レール&スタイル」を使ったドアパネル作り、いかがだったでしょうか。
洋風な雰囲気のドアやキャビネットづくりにぴったりのビットです。
ベアリング付きなので、テンプレートがあれば真っ直ぐだけでなく曲線状のデザイン等にもチャレンジできます。
いろいろなドアパネル作りに挑戦してみてください!

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