砥ぎジグの作り方
旋盤の刃砥ぎにはグラインダーを使うのが一般的ですが、砥ぎジグを作って砥ぐ方法もあります。
用意するものは、旋盤に取り付けできる丸い捨て材。材料はフェイスプレートやチャック、お好みの方法で固定します(この作例ではフェイスプレートを使用しました)。
写真は作品作りに使う材料と砥ぎジグ部分が接着されていて、作品を作りながらシャープニングも好きなタイミングでできるようにした欲張りさん仕様です。
もうひとつ、120番のサンディングペーパーを使います。
捨て板の幅よりも少し狭く、ペーパーを切ります。
サンディングペーパーの裏面から定規を当てて、カッターで切ります。
※ペーパーを切った後は刃が切れなくなるため、ハサミなど刃を交換しにくい道具は向いていません。
刃物を砥いでいる時にめくれてしまわないように、先を斜めにカットします。
捨て材部分にペーパーを貼り付けて使用します。
捨て材の表面に凸凹があると上手く砥げません。貼る面をサンディングホルダー等で平らにならしておくのがいいでしょう。
捨て材が偏芯している場合は、刃物で削るか、粗目のサンドペーパーで整えてください。
整えた捨て材の面に、切ったサンディングペーパーを両面テープやスプレーのりで貼り付けます。
作品用の材料も付けた場合はフェイスプレート寄りに貼って、作品用の材料とは少し離してください。
(作品用の材料に近すぎると、外側の形を削るときに邪魔になってしまいます)
剥がれないよう、しっかりと貼ってください。
原理はグラインダーとほぼ同じ。グラインダーがなくても、刃物を砥ぐことが出来ます。
砥ぎジグの使い方
使うタイミング
材料を削っていて、刃の切れ味が落ちたなと感じたら、刃物を砥いでください。
作品と砥ぎジグが一体になっていれば、作品を作りながらいつでも手軽に砥ぐことができます。
基本の使い方
ツールレストを砥ぎジグの前に移動します。
※作品用の材料の径が大きくて砥ぎジグの前にツールレストを移動できない場合は、主軸(ヘッドストック)から砥ぎジグをいったん外し、ツールレストを移動した後でもう一度砥ぎジグを取り付けます。
作品用の材料を付けた場合、長いツールレストは作品に干渉して近付けられない為、短いツールレストに取り替えます。
スピードコントロールで回転数を遅くします。
次に、それぞれの刃物に合わせた砥ぎ方をご紹介します。
ラウンドスクレーパーを砥ぐ
ラウンドスクレーパーの角度に合わせてツールレストの高さを調整します。
親指を中心に弧を描くように左右に動かしましょう。
この時、最初は真ん中から当て、そこを支点に左右に砥ぎます。
左右に動かした時、刃とジグの当たる角度(上下の向き)が変わらないよう、バイトをしっかりと保持してください。
これを数回繰り返します。
パーティングツールを砥ぐ
パーティングツールの角度に合わせて、ツールレストの高さを調整します。
こちらは上下に動かして砥ぎます。
これを数回繰り返します。
ガウジを砥ぐ
ガウジの角度に合わせてツールレストの高さを調整します。
親指で押えながら、回転させます。
まず、真っ直ぐバイトをあてます。
角度を変えないように左右に回転させます。
これを2~3回繰り返します。
さいごに
グラインダーがない環境でも刃物を砥ぐことができる方法のひとつを紹介させて頂きました。
グラインダーと専用のシャープニングジグを使う方法に比べ、旋盤を使ったフリーハンドの砥ぎは簡単に導入できる反面、慎重に砥がないとだんだん刃先の角度や形が変わってきてしまうこともあり、長期的な利用には向いていません。
長く良い状態で刃物を使っていくためにも、グラインダーや砥ぎ機はなるべくご用意頂ければ幸いです。