より安全に。よりイージーに。
ウッドターニングにおいては誰もが一度は経験があるでしょう、初心者にはとってはトラウマにもなりかねない“キャッチ”のトラブル。
また、コクタンなどの非常に堅い材料や昨今ターニングの素材としても注目を集めているアクリル、エポキシといった樹脂素材。
こうした素材はターニング中に割れたり、かけてしまったりといった経験はありませんか?
とっておきの材料であればこそ起こりやすい、ウッドターニングあるあるといってもいいかもしれません。

このようなトラブルはターニングにはつきもの。
とはいえ、されど、“キャッチ”や材料の“割れ・かけ”といったトラブルをなんとか改善できないかという願いから、EASY WOOD TOOLSが超硬替刃式ウッドターニングツールとしては初めての、独創のネガティブレイク刃を開発。

まずは試してみました。

オフのスタッフにももちろん、過去にコクタンなどの割れやすい材料を相手にやはり割れたり欠けたりでなかなか作品完成に至らず苦い思い出を持つ者がおります。
当時苦戦したその材料を棚から再び引っ張り出してきてリベンジを挑みます。
失敗ばかりだった前回と違うのは、今回はEWTのネガティブレイク刃という新兵器があるということ。
同じく新兵器のマイクロ・イージーツールにネガティブレイク刃を装着して、コクタンを削ってみました。

まずはラフィングアウト。芯を出します。イージーフィニッシャーに丸型/ネガティブレイクのCi3-NRを装着しています。
ファーストインプレッションでとても印象的なのは刃当たりの感触。
通常、超硬チップ刃はカリカリとドライな感触がありますが、ネガティブレイク刃は芯が出て以降は特に、しっとり吸い付くような感触です。
逆に、素早く不要部分を除去して芯を出したいラフィングなどではバリバリ削る切削力は標準の丸型Ci3のほうがあるように感じます。

EWTCi5-NR (丸型/ネガティブレイク)×マイクロ・イージーフィニッシャー(丸型)
小さなオーナメントに挑戦するためマイクロサイズのツールに持ち替えました。
より小型の刃になったせいもあるでしょうか。ひどく引っ掛かるような感触は感じません。

EWT 超硬替刃Ci6-R1-NR (R1/ネガティブレイク)×マイクロ・イージーラッファー(四角)
ふくらんだアール部分をきれいなラインで整えるのはこちらが便利。

EWT 超硬替刃Ci7NR (菱形/ネガティブレイク)×マイクロ・イージーディテーラー(菱形)
丸、四角、菱形それぞれネガティブレイク刃を使ってみましたがどれも糸くずのように長くつながって出てくる削りくずが印象的です。切れ味がよい証拠ですね。

サンディングなしでここまで仕上げることができました。
使用したツールはネガティブレイク刃を装着したEWTの丸、四角、菱形のマイクロ・イージーツールのみ。

EWTのネガティブレイク、なかなかいい感じです。

EWT 超硬替刃Ci2-R2-NR (R2/ネガティブレイク)×ミニ・イージーラッファー(四角)
続いて樹脂素材もテストしてみました。試験体はアクリル×アルミの複合材で、樹脂素材特有の割れたり欠けたりしやすいのに加え、樹脂とアルミの境界から“はがれ”も起きやすい、ちょっと難しい素材。
左はHSS鋼(ハイスピードスチール)のスクレーパー。セオリー通り水平に構えて軽いタッチで削ってみましたが、ご覧の通り樹脂が欠けて飛んでしまっています。
これに対して右の画像は同じ素材をネガティブレイク刃で削ってみたところ。ネガティブレイクの威力がはっきりと出ています。

おかげで材料を無駄にせずに完成までこぎつけることができました。
これなら堅木やアクリルなどの樹脂のちょっぴり難しい材料の時ももっとリラックスして制作に取り組めそうです。
高価な素材を台無しにしてしまったり、もう一度1から作り直し...となった時のショックは大きいですからね。
EWTのツールすべてに対してネガティブレイク刃は用意されています。
すでにお持ちのツールでもネガティブレイク刃の効果を味わっていただけますので是非お試しください。
さて、それでは…
ネガティブレイクとは?
ネガティブレイクの“レイク”という言葉は、いわゆるすくい角のことを指し、替刃式ツールのほとんどは通常下図のようにすくい角0度、で使用します。(センターワーク、フェイスワーク問わず、ツールを構えた作業者の左側面からのイメージ図)

参考までに、下図のような状態ではすくい角は正(ポジティブレイクとも言います)となり、よりアグレッシブな切削力を発揮する傾向にあります。
ただしその副作用として切削負荷は増し、カッティングエッジが切削面に喰い込みキャッチを引き起こす可能性が高まります。
通常このような使い方はあまりしません。

一方、下図のような状態では負のすくい角(ネガティブレイク)となり、切削力(ガンガン削れるような感触)はやや落ちるかわりに引っ掛かりにくく、キャッチやワークの割れ・かけのリスクの低減が望めます。
実際、ツールのオーバーハング(ツールレストから前方への飛び出し)量がいやでも大きくなるホローイング作業などでは安全に作業できるよう、下図のようにツールをやや前下がりに構えるというテクニックが有効です。

EASY WOOD TOOLSのネガティブレイク超硬刃も同じく負のすくい角(ネガティブレイク)の効果を狙ったものですが、こちらはチップ刃自身がすでにネガティブレイクのシェイプになっているため、ツールを前下がりに構えるといった難しいことは不要で、ツールをいつも通り水平に構えるだけでネガティブレイクが成立します。

カッティングエッジ(刃先)が回転軸の中心(芯)の高さになるようツールレストの高さを調節してお使いください。

EASY WOOD TOOLSの丸型、四角、菱形のツールすべてにおいてネガティブレイク刃が用意されていますので、EASY WOOD TOOLSのツールをお持ちの方は是非一度その効果をお試しください。
物理的にキャッチを起こしにくい形状により刃のあたり方はガツガツする感触は抑えられ、ワークの割れ・かけ、キャッチを防いで結果的により良い仕上がり、より安全、よりイージーな作業が期待できます。

スタンダードのCi5(左)とネガティブレイクのCi5-NR(右)との比較。

ネガティブレイクのCi5-NRはホローイングツールのチップ刃Ci5の代わりに使用するのもおすすめ。
いやでもオーバーハング量が多くなる中ぐりの作業において切削負荷を抑えて安定したツールさばきが期待できます。
ミディサイズとミニサイズで計6本揃ったEWTのホローイングツールで使用できます。

EWTネガティブレイク刃&対応ツールリスト
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