超硬替刃式のツールでウッドターニングをもっとイージーに。を提案するEASY WOOD TOOLS。
超硬チップ刃が装着されたスクレーパーは、シャープニングも特別難しい技術も不要で、どなたもすぐに使いこなせる扱いやすいツールです。
ベーシックな器づくりや棒もの削りを幅広く楽しむことができるだけでなく、EASY WOOD TOOLS の設計だからこそ表現しやすい作品も。
このページで紹介する作例はすべて、EASY WOOD TOOLSの超硬替刃式ツールのみを用いて作りました。
皿・鉢・椀







① スポルテッド杢のカキノキで小ぶりな深皿を作りました。イージースタートまたはミニ・イージーツールが適します。
エポキシ樹脂で補修した後、シェラックで仕上げています。
② スポルテッド杢とは、損傷を受けた箇所に雨水が侵入し、カビや細菌などの繁殖によって生じる黒い帯状の模様のこと。自然の営みによって作られた景色を杢として楽しみます。カキノキの枝分かれした部分を素材としました。
③ 腐朽を伴う場合はさらに切削が難しいので、ネガティブレイク刃を活用します。
④ リセス(凹型のつかみしろ)の加工。ディテーラー(菱形)でサイズを決め、チャック(50mmジョー)の形状にフィットするように内側面に傾斜を付けて成形します。くぼみの底面はラッファー(四角)で削ります。
⑤ ④で加工したリセスをチャック(50mmジョー)で保持し、内側をフィニッシャー(丸型)で削ります。必要に応じてネガティブレイク刃を活用します。
⑥ 2液性のエポキシ樹脂に木粉を混ぜ、欠損やひび割れなどを補修します。
⑦ チャックで再び保持し、余分な補修材を削り落としてサンデイングで整えます。仕上げにシェラックで塗装します。
使用ツール









① 縮み杢の入ったセンでふくよかな鉢を作りました。仕上げはオイルフィニッシュ(キヌカ)。
おおぶりで深い器なので、ミディ・イージーツールで制作しました。
② ミディ・イージーフィニッシャー(丸型)による粗削り。丸型刃はフィニッシャーと名付けられていますが、粗削りにも適しています。
ワークの保持にウッドワームスクリューを用いています。
③ リセス(凹型のつかみしろ)の加工。ディテーラー(菱形)でサイズを決め、チャック(50mmジョー)の形状にフィットするように内側面に傾斜を付けて成形します。くぼみの底面はラッファー(四角)で削ります。
③ 外側を主にフィニッシャー(丸型)で削ります。360°刃が付いているので、被切削面に対してツールが垂直でなくても均等に削ることができます。最後にサンデイングで整えます。
④ ③で加工したリセスをチャック(50mmジョー)で保持し、内側をフィニッシャー(丸型)で削ります。
⑤ 深く削り進めるにつれツールレストから刃先の飛び出しが増えるほど失敗のリスクが高まるので、内側曲面の切削点にもっと寄せられるS字ツールレストバーを活用するのがおすすめ。
⑥ できるだけ刃物で滑らかに削り上げ、最後にサンデイングで整えます。
⑦ チャックで保持したままオイルを摺り込みます。オイル塗装により見落としていた逆目ぼれなどが強調されることがあります。
逆目ぼれの対策として、上図の通り逆回転による切削が有効な場合があります。新たな逆目ぼれを発生させないように慎重に削り直す必要がありますが、このような時、ネガティブレイク刃の威力が発揮されます。
また、ツールレストも逆S字ツールレストバーに取り換えています。
⑧ 逆目ぼれが改善された様子。チャックから外し、削り直しおよび塗り残し箇所を含めて再塗装して完成。
使用ツール
蓋付容器










① ケヤキのトレイにウォールナットの蓋を合わせました。
② 制作にはイージースタートまたはミニ・イージーツールが適しています。
リセス(凹型のつかみしろ)の加工。ディテーラー(菱形)でサイズを決め、チャック(50mmジョー)の形状にフィットするように内側面に傾斜を付けて成形します。くぼみの底面はラッファー(四角)で削ります。
③ ②で加工したリセスをチャック(50mmジョー)で保持し、内側をフィニッシャー(丸型)で削ります。
④ サンデイングで整えてトレイが完成。
⑤ フタの素材をウッドワームスクリューを用いて保持し、テノン(凸型のつかみしろ)を加工します。ディテーラー(菱形)でサイズを決め、側面に傾斜を付けます。
⑥ フタの外側を削ります。緩やかな曲面に対しては、真四角ではなくてカッティングエッジがわずかに円弧状にカーブした刃(Ci2-R2)を装着したラッファーが重宝します。
⑦ ⑤で加工したテノンをチャック(50mmジョー)で保持し、トレイとの合わせ目をラッファー(四角)で決めます。
⑧ フタの内側をフィニッシャー(丸型)で加工します。
⑨ コールジョー(リマウンティングジョー)で保持し、テノン部分をフタのツマミとして仕上げます。
⑩ サンデイングで整え、塗装を施して完成。
使用ツール









① にぎり拳大の球体のような形状の合子を作りました。器とツマミがウォールナットでフタはバースアイ(鳥目杢)メープル。
仕上げはオイルフィニッシュ。
② ウォールナットでうつわを削り出した後、フタの素材をウッドワームスクリューで保持します。
制作にはイージースタートツールが適しています。
③ フィニッシャー(丸型)による粗削り。丸型刃はフィニッシャーと名付けられていますが、粗削りにも適しています。
④ テノン(凸型のつかみしろ)をディテーラー(菱形)によって加工した後、フタの外側の曲面をラッファー(四角)で削ります。真四角ではなく、カッティングエッジがわずかに円弧状にカーブした刃(Ci2-R2)が重宝します。
⑤ ④で加工したテノンをチャック(50mmジョー)で保持し、内側をフィニッシャー(丸型)で削ります。
その後うつわとの合わせ目をラッファー(四角)で加工します。
⑥ コールジョー(リマウンティングジョー)で保持し、テノン部分を削り落とします。
⑦ 蓋をサンデイングで整えて一旦チャックから外します。
⑧ テールストックに自作の木製の押さえを取り付けて、器と蓋を一体化し、目違いがなくなるように仕上げます。
⑨ ミニ・マンドレルキットを用いてツマミの素材を固定し、主にディテーラー(菱形)で宝珠の形を作ります。
使用ツール
コップ









① 3種類のゴブレットを作りました。素材は左からモチノキ、サクラ、ウメ。仕上げはシェラック。
② 円柱状に削る時の刃は真四角ではなく、カッティングエッジがわずかに円弧状にカーブした刃(Ci2-R2)がおすすめ。
③ 通常刃で滑らかに仕上がりにくい場合にはネガティブレイク刃が有効です。上図作例の樹種はウメ。
④ テールストックにドリルチャックを装着し、適合するサイズのドリルビットで下穴をあけます。切削抵抗や木くずの排出の関係上、ビットの径を2段階にするとスムーズに加工できます。
⑤ ボックスツールレストを装着し、ミディ・イージーフィニッシャー(丸型)でコップの内側を削ります。チップ刃は360°刃付けが施されているうえ、幅はツールバーよりもわずかに広いので、内側面の加工が行いやすい。
⑥ 下穴を少しずつ広げ、奥へと削り進めるのに伴ってツールレストの位置も徐々に奥へ移動させます。
⑦ ミディツールはツールバーが約180mmと長めに設計されているので、タンブラーのように深めのコップでも対応できます。
⑧ 外側や脚部の加工にもフィニッシャー(丸型)は重宝します。
⑨ 厚みを確認しながら仕上げ削りを行います。
使用ツール
壷








① 梅の木を用いて扁平型の壺を作りました。
② ウッドワームスクリューで材料を保持し、外形を削った後にリセス(凹型のつかみしろ)を加工します。ディテーラー(菱形)でサイズを決め、チャック(50mmジョー)の形状にフィットするように内側面に傾斜を付けて成形します。くぼみの底面はラッファー(四角)で削ります。
③ ②で加工したリセスをチャック(50mmジョー)で保持し、ドリルビットで下穴を開けます。
④ ミディ・イージーホロワー#1を用いて底付近を削ります。
⑤ ミディ・イージーホロワー#2を用いて中腹部を削ります。
⑥ ミディ・イージーホロワー#3で口に近い部分を削ります。
⑦ キャリパーで厚みを確認しながら慎重に削り進めます。
失敗のリスクを下げるには#1、#2、#3を頻繁に持ち替えて、入り口に近い方から順に仕上げていくのがおすすめ。
⑧ サンディングで整えて完成です。
使用ツール
ペンターニング
① ペンターニング用の金具のキーチェーンを活用し、アクリルのペン生地と木材を接着してキノコ型のキーホルダーを作りました。
アクリルのペン生地はきのこの傘の大きさに足りるように2つのブロックを接着し、その後柄になる木材と中心を合わせて接着します。エポキシ接着剤がおすすめです。
② ペンターニングの手順に沿って旋盤にセットし、粗削りを行います。この制作にはイージースタートツール、またはマイクロ・イージーツールが適しています。カッティングエッジがわずかに円弧状にカーブした刃または丸型のネガティブレイク刃がおすすめ。
③ 傘の凹曲面をフィニッシャー(丸型)で削ります。
④ 丸型刃は傘の下の方も取り回しやすい。
⑤ 上図はマイクロの丸型刃の様子。標準の丸型刃が直径Φ11mmなのに対しΦ9mmなので、さらに入り組んだ形状にも対応できます。
⑥ さらに細かい箇所ではディテーラー(菱形)の出番。
⑦ #1500程度の細かい番手のペーパーまでを使って研磨し、さらにYorkshire Grit などで磨き上げた後、組み立てて完成。
使用ツール








① 樹脂や木材と樹脂のハイブリッド素材を生地に用いたペンを作りました。ハイブリッド素材にはスタビライズドウッドと積層強化木が含まれます。上図作例のペン金具はワンピースです。
② ペンターニングの手順に沿って旋盤にセットします。
ペンの制作にはイージースタートツール、またはマイクロ・イージーツールが適しています。
③ アクリル生地をネガティブレイク刃で粗削りします。左はカッティングエッジがわずかに円弧状にカーブした刃(Ci2-R2-NR)、右は丸型(Ci3-NR)ですが、いずれも粗削りに適しています。
④ アクリル生地のハニカムの例。アルミの層がハニカム(ハチの巣)模様になっているアクリル生地で、とりわけ欠けやすい素材です。
左は一般的なハイス鋼のスクレーパーにより、大きな欠けが生じている様子、右はカッティングエッジがわずかに円弧状にカーブしたネガティブレイク刃(Ci2-R2-NR)がスムーズに切削している様子。
⑤ アクリルを研磨して仕上げた後、ペンマンドレルから外します。
⑥ 最後に金具を組み立てて完成。
⑦ ハニカムの作例。一番奥の生地は木材と接合しています。
⑧ 積層強化木(ブラウン)の作例。ビーディングカッターを用いて等間隔の溝を施しました。
使用ツール
雑貨





① 積層強化木やスタビライズドウッドを用いて、小さなつまみを作りました。
制作にはイージースタートツールが適しており、とりわけビーディングカッターを活用しています。
② 縁の丸みと正面のリング状の溝は3/16" ビーディングカッターによるもの。指を掛けるクボミは丸型刃そのままの形を利用しています。素材は積層強化木のレッド。磨き上げれば塗装は不要です。
③ 1/8" ビーディングカッターで3つの山を作り、谷間にOリングをはめています。素材は積層強化木のブラック。
④ 先端は1/8" ビーディングカッター、付け根は1/4" ビーディングカッター、指の掛かりはラウンド刃とディテーラー(菱形)で表現しています。いずれもネガティブレイク刃がおすすめです。素材は積層強化木のライトブラウン。
⑤ シンプルな饅頭型のつまみを3/8" ビーディングカッターで。素材はスタビライズドウッドの紫。
使用ツール


① スタビライズドウッドを用いてペンダントを作りました。塊からリングを削り出しています。
② リングと両側の縁を1/8" ビーディングカッターで形づくります。リングを切り離す際はマイクロ・イージーディテーラー(菱形)が重宝します。先端角が25°で、かつ先端が鋭利なので、細密な加工に適しています。
一方、標準のディテーラーは先端角が35°で、かつ先端が少し丸いので、中央の円柱状の部分のような狭い箇所の加工に適します。