容器・形態
仕様
分類 |
造膜性塗料 シェラック |
常温下での状態 |
形態 |
液体 低粘度 |
色 |
濃赤褐色 不透明 |
適合 |
下塗り |
シェラックサンディングシーラー |
希釈 |
スピリットシンナー |
上塗り/仕上げ |
ウッドワックス22 |
施工 |
旋盤:ウエス塗り
家具・楽器など:タンポ摺り |
乾燥時間 |
5分 |
推奨塗装回数 |
ペンなど:2~3
タンポ摺り:数十回~数百回 |
標準塗布面積 |
0.3~0.8m2/100ml |
用途例 |
食器以外のターニング作品
楽器・家具 |
主成分 |
無漂白シェラック
変性アルコール |
塗装サンプル
いずれの樹種も素地を含め4つに区分けし、ウエスによる塗布をしたもので1回・5回・10回各層の色味の変化を表しています。
木地の素地調整は#400まで。フレンチポリッシング(タンポ摺り)は行っていません。
(タンポ摺りの場合は1回の塗膜が極めて薄いので、色の変化はさらに小さくなり、数十~数百回重ねることで、鏡面仕上げとなります。)
特長
最高級の無漂白シェラックをエタノール溶剤(変性アルコール)に解いた、すぐに使えるシェラック塗料。
伝統的な琥珀色の輝きを与える高濃度のシェラックで、耐水性、耐摩耗性、耐久性に優れています。
タンポ摺りによるフレンチポリッシングテクニックにより、楽器や家具などに工芸的価値の高い風格のある鏡面仕上げを施すこともできます。
手軽な用法としては、ペンターニングなどの旋盤作品の塗装やアクリルなどの水彩絵の具のコーテイングとして使用することもできます。
シェラックとは
カイガラムシの幼虫の樹脂状分泌物を原料とした伝統的な造膜性塗料。セラックとも呼ばれます。
本品は直ぐに使えるようにエタノール溶剤に溶かしてある状態ですが、一般的にはフレーク状に加工した状態で保管し、使用する際にエタノールに溶かします。
本品のように無漂白のものからクリアーなものまで漂白の度合いによって色は様々です。
人体に無害なので、楽器や家具などの塗装の他に、食品や医薬品、化粧品などにも使われています。身近なところではチョコ菓子や錠剤のコーテイング、ヘアマニキュアなどが挙げられます。
ただし、塗料としては食品衛生法に準拠しているわけではありませんので、食器の塗装としてはおすすめしてはいません。また、溶剤がエタノール=アルコールですので、アルコールには耐性が低いことが注意点となります。
なお、「フレンチポリッシュ」という語は塗料そのものだけでなく、技法を表すこともあります(=フレンチポリッシング)。
比較 チェスナット社 シェラック系塗料3品
① 手軽に使えるシェラックベースの速乾性塗料。ほとんど素地の色を変えないクリアー塗装で、特に旋盤作業に重宝する。
② シェラックベースの目止め塗料で素地の色をあまり変化させずに効果的に目止め処理を行う。2層目のフレンチポリッシュが均一で平滑な塗面を形成し、ムラのない光沢を生じる。
③ 1回目から琥珀色の着色が始まり、重ねるごとに風格を感じさせる硬い膜を形成する。耐摩耗性、耐久性に優れ、フレンチポリッシング(タンポ摺り)を施せば、鏡面仕上げも可能。
作業手順-旋盤
① 旋盤を停止した状態で刷毛またはウエスを用いて薄く均一に塗ります。アルコールの揮発が早いので、必要に応じて何度か繰り返し塗布します。
② 速乾なので特に乾燥時間を設けず、旋盤の回転によってバフ掛け(ウエス磨き)を施し、摩擦熱によってアルコールを飛ばします。
③ 塗面の仕上がり具合を見ながら、好みに応じて塗装を繰り返します。
④ 塗面を保護したい場合は、
ウッドワックス22、
カルナバワックススティック、
ウッドターナーズワックスなどがおすすめです。
※乾燥が速いので、大きな作品の塗装には適しません。
作業手順-フレンチポリッシング
①
シェラックサンディングシーラーで下塗り(目止め)を施します。フレンチポリッシュの一層目を下塗りとしても結構です。
② タンポにフレンチポリッシュを浸み込ませ、軽く絞って余分な塗料を取り除いてから、薄く均一に塗広げます。
この時8の字を描くようにタンポを動かしながら摺り込みます。摩擦熱によってアルコールが飛ぶので、直ちに乾燥します。
必要に応じて、
スピリットシンナーで濃度調整をしてください。
③ 好みの塗面にしあがるまで、②の作業を数十回~数百回繰り返します。
タンポが硬くなり、摺り込む動きが重たく感じられたら、スピリットシンナーとともに潤滑油としてミネラルオイル(
フードセーフフィニッシュ)をごく少量(数滴)タンポに足してください。
④ 塗面を保護したい場合は、
ウッドワックス22がおすすめです。
タンポ(短穂/打包)の作り方
適量の脱脂綿を圧縮してガーゼで包み、首を糸で結んでてるてる坊主の形にします。
